NZ Wine News
ニュージーランドワインニュース
17.08.2020
専門家からの提言:ピノ・ノワールの品質は色で判断しない

ピノ・ノワールの色は、あなたが考えていたほど重要ではないかも知れない。

22名の“ワインの専門家”がニュージーランド産ピノ・ノワール18本を、透明なグラスと乳白色のグラスに注ぎ、その品質についての評価をした。結果は、ワインの質を決定するのは香りや味わい要素が色以上に重要であると結論づけた。この研究はブレナムのブラガート研究所でのピノ・ノワール・プログラムの一環だ。同プログラムの主任研究員のウェンディ・パー博士によると、ワインの質を評価するのに色はさほど重要ではないということ。「味、香りの質、花の香りの全体的なバランスが重要だ。ワインを高品質とか低品質とかいう評価をする時に、もう一つ色具合を最終判断に加える傾向がある。これはピノ・ノワールについて一般的に言われている定説とは真逆のことであり、ワインの色が質を決めるものではない。ワインの香りや味が、質を左右する。」

ブラガート研究所のピノ・ノワール・プログラムのマネージャーのマチアス・キンズリック博士は、「この研究の目的は収量を落とすことが重要かどうか、そして何がピノ・ノワールの質に影響を与えるのかを解明するためだ」という。ワイン醸造者たちは収量をコントロールするために、ブドウの間引きをするが、これは果物が少ない方がより高品質のブドウを産み出すという考えに基づいている。

「この研究では、まずこういった一般原則が正しいかどうか、の確証だ。こういったことは実際に誰もテストして、出来る限りの方法で計測したことがなかったからだ。これまで他の人がやってきたから、というだけだからだ。もしこれがそうでないと証明可能だったら、今後より多くの、より質の良いピノ・ノワールを生産できることになるし、それはひいては、業界全体としての新たな前進の可能性にもつながる」とキンズリック博士は説明する。

ピノ・ノワール・プログラムが原則としているピア・リビュー(査読)研究から、“ハーベーシャス(ハーブのような)”ワインが低品質のものと関連づける人がいることも発見した。
一般的に、より青っぽさや芝生やオレガノのようなっぽさの草っぽい味わいが僅かでも前面に出ているワインは、専門家にとっては品質の低いワインと捉えられがちだ。しかしながら、こういった傾向の発見は非常に重要で、人がワインを評価するのに何を基準にしているのか、それを科学者達に伝え共有することが可能になる。

ワインの質は"固有の概念”であり、それはワインの好みが一人一人違うぐらい異なるものだ。慣れ親しんだものという概念もある。試飲担当の人たちはニュージーランド出身なので、自分達が良く知った味を無意識でも探そうとする。もしフランスで試飲をしたら、その土地では違うタイプのワインを慣れ親しんで飲んでいるので、同じ結果に辿りつかないかもしれない。しかし、ニュージーランドでは、色が非常に重要だと思われているため、必然的に消費者も色の濃いワインを探すようになる。」

ピノ・ノワール・プログラムは2017年に開始し、2022年9月まで実施されている。この研究費のうち1030万ドルは企業・技術革新省、経営者奨励基金、ニュージーランドワイン生産者協会からの研究費補助を受け、プラント&フード・リサーチ、オークランド大学、リンカーン大学の研究者により研究作業が行われている。
最初のピノ・ノワール・プログラムのレポートは第三者の研究者による査読後の2020年11月に出版される。

SHARE