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地域限定になりがちなワインラックをチラッと見て、「ニュージーランドのみがまともなソーヴィニヨン・ブランが造れる国だ」と思ってしまうキィウィがいても許してやって欲しい。ニュージーランドがソーヴィニヨン・ブランのベンチマークとも言われるスタイルを作り上げ、その名声を得たとはいえ、現時点でのニューワールドのポールポジションをチリが取りかねない攻勢をかけ始め、このままで行くと恐るべきことに、ニュージーランドの看板娘も負けてしまう勢いだ。
この数年の間に、ロンドンで開催されるチリの主要ワインのテースティングで、最近はとみに過去の栄光だけに酔いしれているニュージーランドのソーヴィニョンメーカーにとり脅威とも言えるソーヴィニョンの出現を目の当たりに見てきた。
その中でも特筆に値するのはフェリペ・マルチン率いるカサ・マルティンである。フェリペはニュージーランドのワイン業界で技を磨いてきた人物で、新たなチリ産のソーヴィニョンが山頂を極めつつある極意を知る人物とも言えよう。
「ニュージ-ランドのソーヴィニヨン・ブランはフラッグシップとも言える代表作なので、キィウィはその名声を保つためにも、波頭に乗ってサーフをし続けなくてはならない。チリとニュージ-ランドは基本的に似通ったのワイン造り技法を持っているため、葡萄が栽培される土地の個々の表現方法がその差異を造っている。その中でチリ・ワインは今の時点でより際立った様式の差異を持っている。1970年代にマールボロにソーヴィニョンの葡萄を栽培したのは大正解だった。というのはその土地がソーヴィニョンにほぼ完璧な土壌・気候だったからだ。その反対に、初期のチリでの葡萄栽培は、理想的なソーヴィニョンを造るには暖か過ぎる地方で始まり、その結果、後のチリ・ワインを有名にしたピリッとした辛さとハーブの刺激ある性格が欠けるワインとなった。しかし、チリも世界水準に早くも追いつきつつある。最近のソーヴィニヨン・ブラン種の葡萄栽培は品種に合う気候の場所とされる海からの冷たい風が当たるところで、その結果新鮮で端麗なソーヴィニョンが産まれている」マルチンは語った。
「12年前にチリにやって来てから、ワイン製造の場所として新しい沿岸の地がいくつも『発見』された。たとえば、サン・アントニオやカサブランカのようなところだ。こういった新しい地域で産まれたワインは非常に味のあるソーヴィニヨン・ブランだ。ひとつのスタイルのソーヴィニヨン・ブランとして簡単に定義されないよう、チリは上手く立ち回った、と言うべきだ。国際的な名声を確立するのはなかなか大変なことだったが、その結果、長い目でみると多様性のある、料理によく合うワインが造られるようなった。」とチリのカサス・デル・ボスケでワイン造りをしているニュージーランド出身のグラント・フェルペはコメントしている。
もう一人のニュージーランド人のワインメーカーでマールボロのマヒとチリのワイナリー、エラスリスで主任ワイン・メーカーとして働いたことのあるブライアン・ビックネルは、「チリ・ワインは最初の取っ掛かりで失敗をしていた。というのは、ソーヴィニョン種だと思っていたものが、実はやや劣ったソーヴィニョナーゼと呼ばれるフランスでは絶滅したが、現在はチリで広く栽培されている品種だったからだ。しかし、それからの新しい栽培からより大きな強さと味」をだすものになったからだ。チリがそれ自身のスタイルで品質の点でマールボロ-に匹敵する質のソーヴィニョンを、チリらしさを持ったスタイルで 造れると信じている。チリにはそれを可能にする気候が存在し、いまもまだより素晴らしいワインを作る土地と地方が発見されているからね。」と語る。
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