NZ Wine News
ニュージーランドワインニュース
08.09.2013
ワイン愛好家が気になる気候変動の影響

ニュージーランドの葡萄栽培にも気候変動が影響を及ぼす、との予想が出ている。

気候変動がワイン製造に及ぼす影響に関するチリとカリフォルニアの研究者が出した研究結果によると、今後40年間でニュージーランドのワイン製造地域は168パーセントの伸びとなるとの予測されている。

2050年までの世界の気温上昇は最低摂氏2度と言われているが、ニュージーランドの最低予想気温上昇は摂氏一度である。その一方、葡萄栽培に適した地域が73パーセントと減少してしまうところもあるという。現存のカリフォルニアや地中海地方などの葡萄栽培に適したワイン醸造地域は減少し、ニュージーランド、北米西部、北ヨーロッパなどが新た葡萄産地となるらしい。カンタベリー、マールボロ沿岸地域、ワンガヌイ内陸部、マーチンボローから西のマスタートンなどが、潜在的な葡萄栽培地として新たな可能性があることを調査は示唆している。気候変動は、ワインの味にも影響を及ぼし、温暖な気候に合った新た種の葡萄の出現の可能性もある、と調査結果は示している。

「カリフォルニアからのジンファンデルがホークス・ベイでも栽培されてはいるが、まだ量としては少ない。もう少し温暖な気候になると、この地域は理想的なジンファンデル栽培地となる可能性は高い。世界各地には何百という種類の葡萄が存在し、それがニュージーランドでも栽培できるかもしれない。」と、ニュージーランドブドウ生産者協会のフィリップ・グレガ会長は述べる。

現在総額12億ドルにも及ぶワインは、ニュージーランドの輸出額番付でも8番目のポジションとなっているが、その順位はもっと上昇するとワイン業界は成長を見越している。

「気候変動が葡萄の成長を助長し、それがワイン生産にもかなりの影響を与えるであろう。しかし、気がかりなことが2点ある。それは、春と秋の気圧の谷の影響と、秋口の雨期の前に葡萄が熟すかどうかである」と、グレガン氏はコメントしている。

オークランド工科大学が最近行った研究によると、気候変動の影響は地域、葡萄種に均一に現れていないことを示している。最北と最南では、気温の上昇の影響は地域の収穫率が白ワイン用の葡萄には良い結果が出ているが、その反面、赤ワイン用の葡萄にはあまり良い結果となっていない。

環境にやさしいワインを造ることで知られるピーター・イエーランド氏はマールボロの現在は葡萄栽培には適さない冷涼な地域にも葡萄栽培地域は拡大するとの予想している。マールボロ地方最良の葡萄の産地として知られるワイラウ・ヴァレーより0.5度ほど気温が低いところに位置する同氏の所有するアワテレ・ヴァレーのイエーランド・エステート・ワイナリーは、気温上昇の恩恵を受ける格好の場所にある。

ヴィクトリア大学の気候科学者専門のジェームス・レンズウィック助教授は、「気候変動が葡萄栽培者には収穫ブームをもたらすことになりそうだが、その反面、他の業種には悪影響を及ぼすことになる。気温上昇は中に種を持つ果実やりんご、なしなどの果樹園は果実が必要とする冬の寒さを奪ってしまう。そのため、ニュージーランド全体としてみると、気候変動が必ずしもこういった果実にはいい影響とはならない。ニュージーランドはワインと葡萄栽培に特化し、特に北島では、亜熱帯に適す作物には好影響となることが予想される。その他の悪影響で懸念されるのは、より頻繁に起こる洪水やサイクロン、海面レベル上昇、そして植物と昆虫の害虫である」と語っている。

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