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今年のオークランド大学のビジネス・スクールが主催する「スパーク10万ドルチャレンジ」に、数々の強豪を勝ち抜き、ワイン業界に画期的な革新をもたらすプロジェクトが優勝した。
簡単な作りながらでコスト・パーフォーマンスに優れる「ワイン・グレナード」は、マイクロ酸素処理で中小規模のワイナリーでも高品質の赤ワインを生産可能となるもの。これまでもニュージーランドのワイン業界は革新的な技術を産み出してきていることはよく知られていが、その評判をさらに確証するものになる、と見られている。「ワイン・グレナード」は同校の商学部の学生数人で開発したもので、25000ドルをシード・マネーとして授与し、さらに今後6か月間ニュージーランドでのベンチャー・キャピタルを援助するエンジェル投資会社のアイスハウス社から起業支援を受ける。
アイスハウス社の共同創始者で取締役のハミッシュ・エルムスライ氏は、「ニュージーランドはワイン業界へこれまでも数々の革新的技術をもたらしてきた。今回のアイディアが製品化すると、ワイン製造の障壁を少しでも低くし、良いワインをより早く生産可能になる、と信じている。この「チャレンジ」は大学院での商業・起業プログラムが発端となっており、弊社とオークランド大学のビジネス・スクールの起業者精神の体質の共同作業とも言える。このプログラムとスパークの活動に関与できるのは、弊社にも非常に役立つ経験でもあり、教育プログラムとメンターたちから学ぶべきことは多々あった」と感想を述べている。
今年は、第一選考に63のプロジェクトが参加し、最終的には13プロジェクトに絞られた。主催者側の発表では、今年の参加プロジェクトは、全て多大な可能性を秘めているものばかりであり、スパークプログラム発足した2003年以来、選考が困難な年であった、とのこと。
最終候補プロジェクトには、オークランド大学の幅広い部門から一般大学生、大学院・博士課程の学生、スタッフが参加した。「過去2ヶ月間、最終選考を通ったチームは、企業家、投資家、ビジネス界、その他の専門家から、かなりのトレーニングとメンタリングを受けた。ビジネスプランと投資プランをさらに磨くため、一生懸命働いていた。参加者全員が次世代の起業家を育て上げようとの熱意をもっていたからだ」とスパーク・チャレンジの取締役のアリナ・ヴァロイ氏は言う。
準優勝となったチームは「フューチャー・インサイト」は工学、コンピューター・サイエンス、科学学科の学生チームで、彼らは、指一つで80%のデータを解釈する検索エンジンを開発した。このチームはシード資金として15000ドルを確保し、アイスハウス社から3か月間の起業支援を受ける。
第3位にはコンピューター工学、医療健康科学部の学生グループが開発した「バック・ポケット・ドライバー」で、これは若い子供を持つ親が子供たちの運転している様子の追跡が可能なアプリで、若年運転者の運転行動の改善を奨励することができる。このチームにはシード資金として5000ドル、とアイスハウス社から3か月間の起業支援を受ける。
ユニ・サービス 研究商業化賞は、工学、医療健康科学学生チームの「ベィビー・アウエア」に贈られた。これは胎児の脳の活動をモニターし、産前・出産中の酸素欠乏による脳への損傷を確認できる手法である。
本年の選考はまず起業要綱を提出し、7週間の集中トレーニング、メンタリング、ワークショップを経て、最終的にビジネスプランを作成し、プロジェクトをテレビ番組『マネーの虎』で有名となった、起業家の卵が投資家の前でプレゼンテーションをして資金を募る形式で審査員の前で発表した。