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マールボロの名前は有名なワインの産地として世界で名だたるものだが、暖炉の火で部屋が暖かく、幾分乾燥気味の季節には、冷えた白ワインよりも、オイルのようにこってりとして、チョコレート色の泡が立っているスタウトビールが向いているかもしれない。
ソーヴィニヨン・ブランで有名なマールボロで、大規模なブドウ畑の間にちょこっと挟まれたようなところで、新しく出来たのがクラフトビール醸造をするモアだ。モアの創始者のジョシュ・スコット氏は、父親が経営するレストランに、自社のビールを卸しており、私たちに彼が醸造したビールを全部試すように勧める。最近では、この地のワイナリーツアーの中に、ビール醸造所の見学も組み込まれているが、モアはそういった小さな醸造所のひとつだ。地元のブドウ園は、ビールを競合とは見てはいないが、クラフト・ビールの成長には目を見張っている。
「ニュージーランド人はスタインラガー・ピュアが高級ビールと思っていたこともあるが、最近ではちょっとおしゃれなレストランで一本12ドルのクラフトビールを買うようになっている」と、マールボロで有名なブドウ園のスタッフは言う。アルコール度10.2%のスタウトを除いて、スコット氏が作るビールはどちらかというとクラフト・ビールの中では軽い分類に入る。「僕は口に泡が付くようなビールを造るつもりはあまりない。」とスコット氏は言う。
スコット氏は、ニュージーランド人として最初のビール専門家(Cicerone. ワインのソムリエに匹敵するビール専門)として認定された人。「マールボロのレストランで売られるビールの伸びと、スーパーマーケットでの陳列棚での種類が長くなっているのはとても好ましいことだ。私はバーでビールを注文する時は、いつも5本いっぺんに注文する。自宅には設定温度が違う冷蔵庫が4台あり、それぞれに適切温度に保たれたビールが眠っている。」
彼は、もともとワイン醸造家の訓練を受けていて、父親のブドウ園で働いていた。ところがある日、カリフォルニのシエラ・ネバダで軽いエールを飲んだときに、突然ひらめき、2003年に自分のビール醸造所を創始した。ビール会社の名前は、マールボロがまだ泥沼だったころに地元に生息していた鳥の名を取り、モアと名づけた。事業開始にはいくつかの困難な事態もあったが、今ではモア社のビールはアメリカ、イギリス、オーストラリア、ブラジルに輸出するまでに至った。「ブドウ醸造家のように、霜の心配をしたり、変化する天候で夜中に不安になることはない。ビール造りは、ゆっくり眠って夢をみて、翌日には目が覚め、ビールを造れる。ワイン造りは、ゆっくり夢が見られる眠りが取れるのは18ヶ月の重労働の後だけだ。」と言う。
勿論、ワインで有名なマールボロでは、さまざまな方法でのワイナリーツアーが存在する。自転車で回るのも、そのひとつ。個人で行くのもよし、団体で案内役をつけてもよし。ワイナリーが存在するワイラウ平地はその名のとおり、平らなので、サイクリングも辛くはない。ワイナリーを幾つか回り(もちろん試飲もする)、お腹がすいた頃、地元のレストランで舌鼓を打つ。
ワインはもう沢山、という気分になれば、オマカ航空伝統センターの訪問もまた違った側面からマールボロを楽しめる。名前からは埃だらけの、期待できない博物館ではあったが、ロード・オブ・ザ・リングの監督ピーター・ジャクソン氏所有の第一次世界大戦中に使われた飛行機まであり、知らないうちに90分も滞在してしまった。
Explore Marlborough
http://www.exploremarlborough.co.nz/
オマカ航空伝統センター
http://www.omaka.org.nz/
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