NZ Wine News
ニュージーランドワインニュース
22.05.2016
急成長を支えるにはマールボロ地域のワイン業界は人不足

ワイン・マールボロとニュージーランドワイン醸造者協会、マールボロ地域市議会、季節的ソリューション組合が共同調査したマールボロ地域の労働市場調査によると、今後5年間で25%の急激な成長を予想されるマールボロ地域のワイン業界を支えるには、より多くの労働者数と宿泊施設が必要となるとの警告が出された。この報告書の目的は、ワイン業界の全容をつかみ、今後の方向性を極め、将来的な労働力の必要性を知るもの。

ワイン業界関係者とのインタビュー結果から2020年までにブドウ栽培面積が24%増しの29,270ヘクタールとなる、との予想。ワイン・マールボロの部長マーカス・ピッケンズ氏は、「マールボロ地域でワイン業界に携わる人にとっては、この調査結果は特に驚くものではなかった。この結果がニュージーランド国内でもマールボロ以外のところだったら、きっと驚愕していただろう。栽培面積の増加は、主に大規模ワイン会社が計画しているものなので、それだけマールボロ地域のワインにどれだけ自負をしているかをよく示している。」とピッケンズ氏は言う。

今年初めににニュージーランドワインの輸出額が15.4億ドルに到達した。今回発表された報告書では、マールボロ・ワインがこの輸出総額のうち12億ドル相当分になると予想しており、この地域に非常にいい影響を与えることにもなる。同時にいくつかの挑戦をもたらすものだ。「一番の挑戦は、需要に満たす十分な労働力を確保する、ということだ。マールボロ地域には8,325のヴィンヤードがあり、ここにRSE(認定季節雇用者)採用の労働者、アルバイト、従業員が働いている。
現在の人数では需要に足りず、多くの人が残業を強いられている。このままでは長期的には持続可能ではない」とピッケンズ氏は言う。

2019 - 20年の予想では、需要に応じるには労働者数は24%増しの10,304人が必要とされる。需要に最も顕著は伸びを示しているのはワイン会社と派遣会社からも絶賛を博されている外国人季節労働者である。今季は冬期に1,669人、夏期には889人の季節労働者がいた。2019・20年には、それぞれの季節に必要とされる季節労働者数は2,269人、1,195人、と報告書は予想している。つまり、昨年に9,500人と増加された、ニュージーランド国内の季節労働者数最高数をもっと引き上げる必要があることとなる。ピッケンズ氏は「この報告書で示唆されている証拠は非常に驚くことであり、ワイン会社とコントラクターは必要とされる労働量をこなすためにも、もっと多くの季節労働者を確保することをしっかり認識する必要がある」と言う。

カイコウラ地域の議員を務めるスチュアート・スミス氏は「季節労働者数の引き上げに賛成。労働コントラクターとワイン会社はニュージーランド人の雇用を検討していたが、多くのニュージーランド人は、失業しているにもかかわらずワイン業界で働きたがらないのは、非常に残念なことだ。労働市場での足りない人力を素晴らしい仕事をしている季節労働者でまかなっており、その結果、労働者たちの故郷への仕送りにいい影響を与えている。」とコメントを出している。

ニュージーランド移民局のマネージャーのジョージ・ラレレ氏は、「2007年にこの外国人季節労働者のプログラムが開始した際に、最高数は5000人だったが、現在ではその最高数が9500人となっている。この上限をさらに引き上げるにはニュージーランド移民担当大臣のマイケル・ウッドワード氏が決断をしなくてはならない、RSEには、ニュージーランド人にまず優先的に仕事を与えるという前提条件が存在する。園芸、ブドウ栽培業界の雇用者に長期的な雇用ニーズに、RSE労働者に過度に頼らないこと、という期待がなされている。報告書ではワイン会社、コントラクターの中には、季節労働者がいなければ、仕事が成り立たない、とまでいうものもいる。ワイン業界は常に季節的な労働量の差が存在する。当然、仕事は臨時のものであるから、ニュージーランド人がブドウ栽培の地域に移り住むように説得するのは、非常に難しい」と言う。

若く、スキルのある労働者を見つけるのも非常に難しいことで、ピッケンズ氏は「ワイン業界では若い人材には機会がない、という認識が存在している。若者たちは、ワイン業界、というとブドウ狩り、植栽、フルーツピッキングというイメージしか持っていない。しかしワイン業界で活躍したい、思うニュージーランド人に、機会と人生をかけてもいい仕事に出会える可能性はいくらでもある。十分な労働力を見つけるのは問題ではない。重要なことは、ワイン業界に適した人材を惹きつけることである。どこでも労働力は存在する。業界としても、人材を大切にし、労働に見合うだけの給与を払い、この業界にできるだけ長い間いて欲しい」と言う。さらに、この地方に働きに来た人たちが、適切な宿泊施設を確保でき、健康管理やその他のサービスが利用できるようにすることも重要なことである。

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