NZ Wine News
ニュージーランドワインニュース
17.06.2018
10年は耐久するブドウの木を支える材木杭

ニュージーランドには現在想定3.6万ヘクタールのブドウ畑が存在し、そこのブドウの木は約2,100万本の杭で支えられている。この大半がCCA(防腐・防蟻のため、クロム・ 銅・ヒ素化合物系木材防腐剤を木材内部に加圧注入処理すること)したマツ科の木材で作られている。近年CCAが土壌に滲出し、これがニュージーランドの持続可能なイメージに悪影響を及ぼす可能性があるとの懸念が指摘され始めている。

ブドウ畑に使用されている杭の約5パーセント(年間約100万本)が機械作業で破損し、除去される。しかし、CCA処理されているため杭の再使用や埋め立て地への投棄が制限されており、破損した杭はブドウ畑の隅に放置されてしまう。

CCA処理したマツの悪影響の可能性が出始め、放置された杭の代替使用法を検討する人たちが出てきた。その一つは、自然の硬材の使用。例えばユーカリの一種で、土壌に埋められてた状態でも化学処理をしないで耐久性のある材質のものなど。

2003年にマールボロのヴィンヤード・ティンバーズ社は数種のユーカリ材での試行をして、可能性のある材質に行き当たった。その一つがcoast grey box (ユーカリの一種)と白い木材が取れるWhite stringbank(ユーカリの一種)である。この二種は遺伝改善テストを加えられる第一候補となった。他のユーカリは寿命な15-20年と言われている中、選択された二種は地上で20-25年持つといわれている。今回候補にはならなかった他のユーカリ種も今後同様のテストに加えられる。

2006年から2009年までに、マールボロワイラウ・ヴァレー下流の6つのブドウ畑にニュージーランドで伐採された耐久硬材杭を1400本が供給された。10年以上経過し、テストに参加した6つのブドウ畑では、この杭の腐敗の状況の調査、またブドウ畑の所有者たちからの実験対象の杭に関するヒアリングを実施した。

CCA処理された杭が破損した後の代替品としユーカリ材の杭を導入したブドウ畑の4つのうちの、一つは新しいブドウ畑作りに使用したり、小規模なフィジョアの果樹園作りなど使用している。5つのブドウ畑の所有者は、有機栽培で、機械使用の収穫作業をし、その他には機械化の植栽を用いているところもあった。二か所は機械化した苗下耕作を行っている。

その結果当初1,400本のうち1,065本の杭がまだ使用中であった。残りは、14本は破損、一本は腐敗により破損、45本はまだ倉庫にあることが分かった。

ブドウ畑の所有者からのコメントは前向きだ。自然材の耐久性は有機栽培管理をするところでは特に受けが良く、破損率の低い、杭の強度が特に強調されていた。1,065本のうち14本の破損は機械使用によるもので、木に結び付ける際に破損したことが原因と判明している。これは、品質基準をより強めることで十分に排除できるものである。概ね、マツ科の木材杭の年間破損率の、約5%以下の破損率にしかすぎなかった。

実験の関係者にとって、一番の朗報は、地下使用でも、地中使用のための化学処理を施していないにも関わらず、ひどく腐敗した杭は一本のみだったことだろう。150本の杭の地中評価では、オーストラリア基準の耐久性分類で第一級に分類されている通り、coast grey box (ユーカリの一種)がまだ使用されて居り、腐敗程度は非常に低くかった。

白い木材が取れるユーカリ(white stringybark)の杭は、それより腐敗度がやや高く(特に一つの場所において)はあったが、まだ使用可能状態で、あと数年は継続使用が出来そうな状態のままだ。

負の部分も観察されてはいるが、大抵は木の堅さが問題となっており、クリップやワイヤハンガーのくぎ止めするには難しいとの指摘がでている。しかし、この問題は前段階においてドリルで穴を開ければ充分回避できることだとは言われている。
この調査は今後に向けた重要な情報を提供し、今後の5年間で次回分析が行われる予定となっている。

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