NZワインニュース一覧
3回発生したサイクロンの影響により、通常の初期収穫段階による成熟条件より暑くなった日中や夜間に暖かくなった日が多くあり、2018年は困難な状況に直面した地域もあった。各地域の概要は以下の通り。
【ギズボーン地域】
1月から3月にかけての降雨量は通常よりやや多めであったが、大半の生産者にはさほど通常と変わりない状況だった。
「寒波の影響でシャルドネとメルローの収穫が通常より減少した。白カビが頭痛の種で、特に早生品種は雨にたたられた」とTWワインズのポール・ティエジェン氏との報告。
【ワイララパ地域】
3月の後半までの3か月間の降雨量は平均よりやや多いぐらいで、4月に更なる雨が降る前に大半の収穫を終了。2週間続いた好天気により、ブドウたちも適度の太陽を浴びることができた。「4月の雨の間、じっと我慢し、収穫を遅らせていた生産者たちは、その分だけいい収穫が出来た。うちは4月13日に収穫をした。通常より暖かめの夜間の温度が、酸度と糖分が通常より低いブドウを作り上げた」とエスカープメント・ワインのラリー・マッケナー氏はコメントする。
【ホークス・ベイ地域】
降雨量は昨年比で1月から3月にかけては少なかったが、長期的観測では、いつもより多めの降雨量となった。
「今年の収穫におおむね満足してはいるが、大当たりな年とは言えない。3月まではかなりの雨量があり、その後はまあまあ雨量の少ない天候となった。暖かくて乾燥した天候が数週間あったので助かった。量的には満足している。シャルドネはまさに目標通りだったが、メルローはどちらかと言うと軽めになった」、とはトニー・ビッシュ・ワインのビッシュ氏のコメント。
【ネルソン地域】
3月までの3か月の降雨量が平均157ミりのところ、今年は566ミリとなったネルソンは、表向きではではかなり雨の悪影響を受けたようにも思える。
「降雨量の数値だけ見ていると、誤解しがちで、短期間の大雨の方が、長期間続く、しとしと雨よりダメージが少ない。ネルソンでは今年の始めに干ばつとなったところもあったので、1月の雨は歓迎された。ところが2月、3月のひどい雨ではさすがに歓迎ムードはなくなった。ブドウの糖度と酸度は通常より低いが、味は熟成している。うちのワインはおおむね良い味となり、バランスを持っている。当ワイナリーでは生産量は通常より25%減となったが、素晴らしい質のワインとなっている。シャルドネはこの地域のワインでは一番かもしれないが、ピノ・ノワールも悪くない」、とノイドルフ・ワインズのティム・フィン氏は言う。
【マールボロ地域】
3月の後半までのブドウの成熟期に当たる期間にマールボロでは364ミリの降雨量となった。これは、通常の同時期の112ミリを大幅に上回る。
「早めに手を打った生産者たちは相応の結果を達成した。うちは3月30日までに収穫を終了したので、4月の大雨の影響を受けなかった。充分に選別しても皮がすぐに取れてしまうブドウ、灰色カビ病、白カビなどが問題となった。驚くべきことには、酸度は予想されていたほど落ちこまなかったが、糖度は下がっていた。今年の収穫は、例年通り」との、フォレスト・エステートのオーナーのフォレスト氏は語る。
【セントラル・オタゴ地域】
2018年の収穫は良好と言えよう。ミーシャズ・ヴィンヤードのワイン・メーカーであるオリ―・マスター氏によると「並外れたレベルと言えよう。グローイング・ディグリー・デイ(積算成長度日)は、昨年の960と比べると1322だった」。
「気温の高かった夜が酸度を低く抑え、房の平均的比重はいつもより少ない。“白熱化”した収穫だった」、とは、ミーシャズ・ヴィンヤードの栽培者であるケリー・ハミルトン氏の言葉。同ワイナリーのブドウは遅摘みのゲヴェルツトラミナー種を除いて、いつもより一か月早く収穫された。
いつもより鳥と疾病の可能性が多くあったからだが、インタビューに応じた人たちは一応にして、品質に関しては楽観的な見解であった。
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