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ニュージーランドワインニュース
09.09.2019
ワイン作りからのブドウのカス処理の解決策

ワイン業界は、環境問題の突破口の先端を行っているかもしれない。ワイン作り工程後に残ってしまう廃棄物は水路汚染にもつながる可能性があるため、その処理に何年も苦戦していた業界がどうやら解決策を見出したようだ。

ブドウかすとはブドウを潰した後に残る皮、種、軸などだ。そのまま残しておくと、残った水分が汚染物質となり問題を引き起こすこともありえる。「かすのコントロールが不十分だと、地面に吸収され、河川に沁み込んでしまう」とマールボロ―市役所、固形廃棄物マネージャーのアレック・マクニール氏は語る。
マールボロだけでも毎年推定65,000トンのブドウの絞りかすが出ており、この貯蔵だけでも大問題となっている。最近はそれが原因となり起訴とまでなっている場合もある。ギーセンワインの主任ワイン醸造家のニコライ・セント・ジョージ氏は「この業界では時間がすべてだ。これだけの量のブドウの絞りかすが業界全体が多忙な時に一時に生み出されてしまう。」
ワイン製造現場で堆肥としての処理に成功しているワイナリーもあるが、大規模生産ではそれが出来ない。

続けて、セント・ジョージ氏は、「素晴らしいアイディアはあるが、絞りかすを畑内で捨てるには処理場所に制限がある。加えてどのくらいの量ができるかということにも制限があるので、ますます処理が難しくなってきている」と処理の困難さを語る。

しかし、ギーセンワインは絞りかすを乾燥させ、粉末と粒状形態に加工する新しい実験に自社で発生したかすをブレナムの試験工場に送り込んだ最初のワイナリーとなった。植物乾燥技師のクリス・ボウヒル氏は、彼の妻から絞りカスの転用を探す任を授かった。
「まず小型乾燥機を自作し、それからブレナム中を歩き回ってブドウを買い占めた」と1 NEWSのインタビューに答えてボウヒル氏は言う。

これがきっかけでPacRimEnviro の社長が工場を建設し、40トンの水分を含むブドウを使い、水分含量を15%まで乾燥させた。「絞りかすの湿気が取れると水分浸出は殆ど停止し、安定する。一度安定した形状となると、次の加工をするまで何年も保存可能となる。既にいくつかの実験がなされており、ヤギと牛のミルク絞りとチェビオットの羊牧場でも使用している」とボウヒル氏は説明する。
石炭の代替品として燃やしマールボロの病院や学校で使うことも検討されている。マールボロ―市役所はブドウの絞りかすの研究補助として、2018年にゴミ減少基金から$127,711の支援金を拠出している。この研究にはマッセイ大学の科学者も参加しており、現在ライフサイクル分析を実施中で、完全なブドウの絞りかす処理技術の模索中だ。二酸化炭素排出を計りながらいくつかのオプションを比較研究する予定。
ニコライ・セント・ジョージ氏は、「ブドウ絞りカスの未来の使用法を検討すればするほど、より興味がわいてくる。ワイン業界のためになるだけでなく、ゴミ・ゼロともなる。将来的にブドウ畑でも実践できるという長所もあるが、それ以上にもっと他の利益をコミュニティにもたらすことが出来る」と、この実験の将来を捉えている。

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