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皆さん、こんにちは。この原稿は、ニュージーランドの北島にあり、ニュージーランド一の都会であるオークランドで書いています。 2019年頃から世界を震撼させている新型コロナウイルスは、変異種が生まれる度に…… 続きを読む
1年経つのは早いもので、モアナ・パークで2回目の収穫になりました。2021年のニュージーランドワイン業界の一番大きなニュースは、マールボロ地区が霜の害もあり、20%と大幅に収量が減ってしまったことです…… 続きを読む
第220回
週末のお楽しみ ~第2弾~... 続きを読む
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第219回
ニュージーランドワインは白だけに非ず... 続きを読む
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第218回
1996ヴィンテージのワイン勢ぞろい... 続きを読む
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買い物大好き人間なのですが、店にわざわざ足を運んでも、探しものを入手することが困難なことが多いせいか、オンライン・ショッピングにはまってしまいました。日本でもあるゲリラ的に期間限定のお買い得情報が送られてくるようになり、危険なテンプテーションで病み付きになりそう。「ワイヘキ島 豪華コテージ2泊」を、その翌日にやはりワイヘキ島のワイナリー・カフェでのお食事券を購入しました。このワイナリーを選んだのは、ただ単に、滞在予定のコテージから徒歩で行ける範囲、と言うだけで、何の予備知識もありませんでした。
「豪華宿泊施設」は写真イメージとはかなりかけ外れていて、清潔ではありましたが、日本サイズとしても超ミニのものでした。ゴルディー・ワインズも「安物買いの銭失い」とパートナーになじられるのを覚悟していました。地図を頼りに、日曜日のお昼過ぎに到着。誰もお客さんがいない。それなのに「ご予約は?」と受付の人が尋ねるには、「これってジョーク?」と背中に水を注がれたような、早くも絶望感が。ところが最初の料理から意外なほど、繊細で上手い!いつもなら「経済的に」ボトルワインを注文してしまう私ですが、プリフィックスのメニューは、白と赤を選ぶような食材。お勧めのワインを何種類か頂いてしまいました。ガラス張りのカフェから広々とした果樹園を見ながらの食事を主存分堪能し、セラーにてお土産分のシラーを購入し、期待はずれで大成功のお買い物でした。
遅ればせながら、帰宅後このワイナリーのことを調べてみました。ゴールディーの前身のゴールドウォーター・ワインズはワイヘキでも最古の葡萄園。創始者キムとジャネット・ゴールドウォターは1960年代に仕事でスペインに長期滞在し、ワインに魅せられ、帰国後、ヨーロッパで味わったワインの味を求め、地元のワイン醸造業者たちに「ヨーロッパ風のワイン」を造るよう嘆願しましたが、まだワイン文化の浸透していない当時、首を縦に振る人はいませんでした、それなら、と自分たちで専門家からの大反対を押し切り葡萄造りを始めてしまいました。ワイヘキ島のプティキ湾に面した土地を購入し、1978年から毎週末に葡萄造りに通いつめ、その努力が実り1982年が最初の収穫年となりました。その後、メルロ、カルベネ・フラン、シャルドネ、シラーで世界的に著名なワイナリーにまで育てました。ちなみに2004年のゴールディ・カルベネ・メロー・ブランは「死ぬまでに飲むべきワイン1001選」に名を連ねています。
そのゴールドウォター・ワインズは2006年にマールボロのヴァヴァサワー・ワインと合併し、2009年には、ゴールドウォター・ワインズのブランドとホークス・ベイとマールボロのビジネスをアメリカの投資家に売却してしまいました。ワイヘキ・ワインのパイオニアとして有名なワイナリーの行方を心配する声が多く起こりました。幸いゴールドウォーター家が元々持っていたワイヘキ島の葡萄畑の所有権はまだ手元に残っていたので、ワイヘキでの操業継続のため、2010年ブランドをゴールデイ・ワインズとし、娘夫婦が中心でワイン業を続けることになりました。その翌年には70歳代の後半になった、創始者のキム・ゴールドウォター氏は、余生の蓄えも心配することがなくなったと、葡萄畑、カフェ、宿泊施設を含む約14ヘクタールの土地をオークランド大学へ一部売却、残りを譲渡しました。何故、この大学か、というと、創始者を始め、4世代にわたりゴールドウォター家の人々が同大学の卒業生で、中には教鞭を取った人もいて、「何か大学へお返しがしたかった」というとても素敵なプレゼント。
私事ながら、現在勤務しているのはゴールドウォーター家の恩恵に預かった大学なのですが、ある日オフィスにボトルがごろごろしているのをある日発見。勿論、これは職員が就業中に飲めるようにおいてあるのではなく、学内でのイベントがあった際にお客様に振舞われるもの。前述の寄付を機会に卒業生、職員もゴールディ・ワインを割引で購入できると言う美味しいお話。勿論買い物依存症としては、決っして放っておけないので、近いうちにこの権利を遂行します。
そして、私たちの購入したゴールディ・ワインの後日談をお伝えしましょう。
購入したワインは特別の機会に、と大切にしまっておきました。ある晩、パートナーに「シチューに入れる赤ワイン持って来て」と料理をしながら頼みました。未だにワインは色でしか区別がつかない人なので、色も指示しなくてはいけません。サラダを用意し、同時にシチューの煮加減をチェックしていると、気を利かせた主人が「これね、入れるよ」とワインを鍋に景気よく入れてくれました。「ん?これって!」と気づいた時には半分以上は鍋の中。そうです。ゴルディー・ワインのシラーがシチューに入ってしまいました。もちろん美味しいものに仕上がりましたが、とても悲しい気持ちに陥ってしまいました。これからは、うちの亭主にもわかるように「飲むな、触るな、開けるな!」と明確にラベルを付けて置くようにします。