NZ Wine Column
ニュージーランドワインコラム
第169回コラム(Aug/2016)
ワインと鍋とフィッシュ・アンド・チップス?!
Text: 細田裕二/Yuji Hosoda
著者紹介
細田裕二
Yuji Hosoda
JSA認定“ソムリエ”、SSI認定“国際唎酒師”。2014年から4年間オークランドに居住。シェフとして働くかたわら、北から南まで数々のワイナリーを訪れ、ニュージーランドワインに存分に浸る。帰国後は東京にて複数店舗を展開する飲食企業に勤務。和食とワインのお店を切り盛りするかたわら、社内のワイン講師やワイン関連のプロモーションを任される。 ヨーロッパからの自社輸入ワインのみを扱うお店にて、お客様にニュージーランドワインの魅力をささやく毎日である。
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早いもので今年ももう9月、日本は残暑も去りすっかり秋めいている頃でしょうか。それとも温暖化の影響で暑さがまだ残っているのかも。実はこのコラムが掲載されるころには約3年ぶりに日本に一時帰国するので、そのあたり肌で感じることになりそうです。
皆さんこの夏のワイン・ライフはいかがでしたか?実は私はその昔ワインを飲み始めたころ、赤ワイン一辺倒で夏も冬も関係なく赤を飲んでいたものですが、今では季節や場所、状況などを考えていろんなワインの楽しみ方をしています。
夏が来るとスパークリングワインが飲みたくなるのは、おそらく私だけではないでしょう。バブルや泡ワインなどとも呼ばれていますが、夏の暑い日に酒飲みの乾いた喉を潤すには、ビールとともに最高の飲み物ですよね。
ワインと言えば食中酒として料理との相性が語られることも多いですが、それでは普段の食事の中でスパークリングワインに相性の良いものはなんでしょうか。
最初にお勧めしたいのが揚げ物。何といっても揚げ物とスパークリングワインの相性は最高!!口中に残った油をバブルで洗い流す感じですかね。天ぷらやカツ、唐揚げやフライなど揚げ物全般によく合います。この際、揚げ物の素材はあまり考えないで良いでしょう。ここニュージーランドでポピュラーな揚げ物と言えば、やはりフィッシュ&チップス!! これにはやはりスパークリングワインがベストマッチです。
ピザもなかなか良い相性をみせてくれます。理由は揚げ物と同じでしょうか、ピザも結構オイリーですからね。熱々のピザを片手にスパークリングワインをガブガブ、こりゃ旨いです。
と、ここまで書いてなんとなく気づいた方もいるかと思いますが、要はビールに合いそうなものはスパークリングワインにもよく合うのではないかと想像できます。
餃子と言えばビールという方も多いと思いますが、私はこれもスパークリングワインでいってみたいですね。ロゼのスパークリングなんかが良さそう。
ただ食事とワインのマッチングのポイントの一つに、“格を合わせる”というのもあります。先に挙げた料理はどれもカジュアルなものなので、合わせるワインも気軽に楽しめる値段の物がいいですね。高級スパークリングに宅配ピザというのもちょっともったいないし。
ニュージーランドではLINDAUER/リンダウワーやTE HANA/テ・ハナといった毎日のように気軽に飲める価格帯のものから、日本でも有名なCloudy Bay/クラウディ・ベイなどが手掛ける瓶内二次発酵のしっかりした造りのものまで、様々なスパークリングワインが造られています。日本ではあまり見かけないソーヴィニヨン・ブランやピノ・グリを使ったもの、季節限定のものなどいろいろ売られています。
この夏、と言っても日本とは季節が反対のニュージーランド、すでに半年ちょっと前の話ですが私のワイン・ライフは、お休みのたびに美味しいフィッシュ・アンド・チップスやピザ、つまみなどを買い込み、良く冷えたスパークリングワインや白ワインを持って家の近くのビーチで夕方からのんびり家族とピクニックという感じでした。夏のオークランドは夜9時まで明るいんですよ。
さてこれから日本は寒い季節に向かっていきますね。そうなると食卓に鍋がのぼることも多くなってくるのではないでしょうか。手軽ですしね。
皆さんは鍋物を食べるとき、どんなワインが飲みたくなりますか?鍋の種類や食材にもよるという方も多いでしょうが、私の場合はどんな鍋でもロゼワインを一緒に楽しむことが多いです。
ロゼの種類は何でもよいかと思いますが、鍋汁や具材にポン酢などの酸を足して食べるようなものはドライのロゼ、おでんなど鍋汁に色がついているものや中華系の辛い鍋にはオフ・ドライという感じでしょうか。すき焼きの場合は赤を選ぶかもしれないですね。すき焼きが鍋かどうかという議論はありますが。
あくまで私の好みの部分ですが、鍋物のスープ感に一番よく合うのがロゼワインのような気がしています。赤だとちょっと重すぎるし、白だとちょっと物足りない。やはりロゼがしっくりきますね。
私は最近、積極的にロゼを選ぶことも多くなりました。食事と一緒に飲むことを考えた場合、一番守備範囲が広いように思います。飲み疲れもしないし、スパークリングワインと同様、カジュアルな食事にはいつもピッタリ。
ニュージーランドでも美味しいロゼワインがたくさん作られているので、毎回あれこれと試しています。世界的に需要が増していると言われているロゼ、日本ではまだあまり飲まれている印象がないですね。ニュージーランドでも元々のロゼの選択肢の少なさもあって売り場での面積は決して大きくないですが、3本4本とまとめてロゼを買っていく人の姿も見受けられます。
今回はスパークリングワインとロゼワインに合う食べ物のお話をしました。ワインと食事のマッチングを指す言葉として“マリアージュ”というものがありますね。そう言うとどこか難しい感じになってしまいますが、最終的には自分の好みによる部分も大きくなってくると思います。自分が美味しいと思ったものが一番!!味覚の秋、みなさんも普段の食事にいろいろなワインを合わせて、一緒に楽しんでみてください。