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皆さん、こんにちは。この原稿は、ニュージーランドの北島にあり、ニュージーランド一の都会であるオークランドで書いています。 2019年頃から世界を震撼させている新型コロナウイルスは、変異種が生まれる度に…… 続きを読む
1年経つのは早いもので、モアナ・パークで2回目の収穫になりました。2021年のニュージーランドワイン業界の一番大きなニュースは、マールボロ地区が霜の害もあり、20%と大幅に収量が減ってしまったことです…… 続きを読む
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週末のお楽しみ ~第2弾~... 続きを読む
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第219回
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季節は冬本番。コートや傘から解き放たれたお客様は、暖かいダイニングルームで、白い息を楽しい会話に切り替えて、しっとりお食事をお楽しみになっています。
ギャラリーやブティックが並ぶ、オークランドでも一際落ち着いた雰囲気のパーネルで、10年以上も親しまれているTriBeCa(トライベッカ)レストラン。“TriBeCa”はニューヨークにあるThe Triangle Below Canal Streetの略称で、世界中のグルメ達が集まる場所です。オーナーのマークとポーリーンは、南半球のニュージーランドにも新たな聖地を築きたいという願いから、この名前を看板に掲げました。
もちろん料理はNYスタイル。様々な食材や料理法が用いられ、NYと同じように移民の多いニュージーランドを、そのままお皿に盛り付けたかのようです。ワインはニュージーランド産のものがほとんどですが、オンリストされているものだけでも200種類以上、地下のセラーの秘蔵っ子やお休みワインたちも含めると300種類以上を所有しています。 <詳細> http://www.tribeca.co.ニュージーランド/
7月24日、料理雑誌「Taste」の企画により、わがTriBeCaにてTasting Dinner が行われました。約50名のお客様にご来店いただき、マスター・オブ・ワインであるボブ・キャンベル氏のエスコートにより、とても賑やかな一夜となりました。
この日は前菜、メイン、デザートのコースにあわせ、4種類のワインが供されました。ニュージーランド産のSparkling Wine から始まり、前菜のマグロのタタキには Ata Rangi Petrie Cardonnay 2006、メインのポークベリーにはSeresin Leah Pinot Noir 2006, デザートのクレーム・ブリュレには、Montana Late Harvestと、リーズナブルながらニュージーランドワインの基本をしっかりと押さえたセレクション。Taste誌にとって初めての企画であったとはいえ、お客様には大変喜んでいただけたと思います。
さて、皆さんは旅行先のレストランでどのようにワインをお選びになりますか?日本のレストランでは、今やどこでも知識豊富なソムリエがサポートしてくれますが、残念ながらニュージーランドにはソムリエという職業があまり浸透していません。もちろん、レストランのスタッフに尋ねることも出来ますが、ここは移民の国、皆がみなワインに精通しているとはいい難いところがあります。そこで今回は、ニュージーランドを旅行中に、聞きなれない食材やメニューを目の前にして途方に暮れぬよう、TriBeCaの料理を例にとって、簡単なワイン・セレクトのシミュレーションをしてみたいと思います。
有難いことに大抵のレストランは、グラスワインの選択肢も充実していますので(TriBeCaは現在10品種35種類)、料理ごとにワインを合わせるのも容易です。
さぁ、イメージしてください。予約は19:30、外の寒さを考えホテルで軽く飲んできたあなたは、ラウンジでの食前酒はパスして、暖かそうなダイニングルームに直接向かいます。
「いらっしゃいませ、TriBeCaへようこそ。お席はご用意しております。さぁ、こちらへ。」
< 前菜 >
■Caramelised Scallops(キャラメライズド・スキャロップス) -キャラメル上に仕上げたホタテ貝
■Edamame and Golden Beet Salad(エダマメ・アンド・ゴールデン・ビート・サラダ) -枝豆とゴールデンビートルートのサラダ添え
■Baby Cress and Butternut Cardamon Froth(ベイビー・クレス・アンド・バターナッツ・カルダモン・フロス) -カルダモン風味の、ベイビークレソンとバターナッツ(かぼちゃの一種)を軽やかなソースで
メイン素材のホタテ貝は香ばしく仕上げられているので、少しオークの効いたものがいいかもしれません。ビートルート、バターナッツにはほんのり甘みがありますが、クレソンやカルダモンの爽やかさも加えられています。ソースは泡立ててあるようなので、重くないふんわりとした口当たりでしょう。そこでこの料理には、スパイスやハーブの香りを持ちながら、しっかり熟した果実のブーケとミネラル感のあるソービニヨン・ブラン、その中でも珍しい18ヶ月の樽熟を経た『ドッグ・ポイント・ヴィンヤード・セクション94 2005』 をお勧めします。
[ニュージーランドでよく見かける野菜(日本で馴染みの薄いもの)]
Silverbeat(フダンソウ)、Swede(カブハボタン/ルタバガ)、Taro(タロイモ)、Parsnip(サトウニンジン)、Palm Heart (椰子の実)、Cavolo Nero (黒キャベツ)
< メイン >
■Furikake dusted Snapper Fillet(フリカケ・ダステッド・スナッパー・フィレ) -ワサビ風味のふりかけをまぶしたマダイのフィレ
■Crab and Goat's Cheese Risotto(クラブ・アンド・ゴーツ・チーズ・リゾット) -カニとヤギ乳チーズのリゾット添え
■Tomato Verjus Emulsion(トマト・ヴァージュース・エマルジョン) -トマト果汁のエマルジョンソース
これは冒険です。日本のワサビふりかけを調味料として魚にまぶしてありますね。わさび、ゴマ、海苔とくればやはり米が欲しくなります。シェフもわかっているようで、しっかりリゾットが添えられています。ヤギのチーズには軽い酸味がありますが、そこはチーズリゾット、しっかりと重さが感じられます。Verjusは未熟な果実からつくる酸味飲料のことで、乳化させてまろやかな口当たりに仕上げています。
ふりかけ、ご飯、焼き魚、なんだかお弁当のようですが、お茶を合わせるわけにはいきません。マダイは淡白な魚ですが、添えられているチーズリゾットに負けないしっかりとしたワインがいいでしょう。料理自体に酸味が加えられているので、まろやかな口当たりのものを選びます。桃、洋ナシの香り、ほんのりスパイシーでハチミツのような風味。やさしい酸味とアルコール感のたっぷりとあるピノ・グリ、Herzoc Marlborough Pinot Gris ’06 などいかがでしょう。甘みを持つものが多いニュージー・ランド産ピノ・グリのなかで、このワインはかなりドライです。色合いはピンクを帯びていて、白ワインというより名前のとおり灰色ワインです。
日本と同じ海に囲まれた国であるニュージーランドでメニューでも見かける魚介類を紹介します。英語になると分かりずらい魚の名前も日本語にすれば馴染みのあるものばかりです。
Cockle(あさり)、Paua(アワビ)、Oyster(カキ)、Pipi(スダレ貝)、Green Mussel(ムール貝)、Crayfish(イセエビ)、Prawn(クルマエビ)、John Dory(マトウダイ)、Tarahiki(シマグロダイ)、Flounder/Flatfish(カレイ)、Sole(ヒラメ)、White Bait(しらうお)、Trevally(かいわり)、Jack Mackerel(マアジ)、Blue Mackerel(ゴマサバ)、Blue Cod(トラギス)、Red Cod(アカダラ)、Ling(カワメンタイ)、Hoki(ホキ)、Red Gurnard(ホウボウ)、Orange Roughy(ヒウチダイ)、Hapuka(アラ)、King Fish(ひらまさ)、Yellow Fin Tuna(キハダマグロ)、サケ(Salmon)、Octopus(タコ)、Squid(イカ)、Eel(うなぎ)
< デザート >
■Lemon Ricotta Pudding(レモン・リコッタ・プディング) -レモンとリコッタチーズのプディング
■Feijoa Sorbet and Confit(フィジョア・シャーベット・アンド・コンフィ) -フィジョアのシャーベットとコンフィ添え
さあ、デザートです。今夜はコーヒー/紅茶はもう少し後にして、デザートワインをいただくことにしましょう。日本とは違い、ニュージーランドのデザートに“甘さ控えめ”は有り得ません。このデザートも、レモン・リコッタチーズで爽やかさを加えてあるものの、しっかり甘みがあります。
フィジョアは南アメリカ原産で、パインの香りをもち、甘みと酸味のバランスがとてもいい果物です。合わせるワインは、シトラス系のアロマを持ち、トロピカルフルーツのブーケと軽いハチミツに似た風味がある貴腐ワイン、酸もしっかり乗っている『コーバンズ・コッテージ・ブロック・マールボロ・ノーブル・リースリング2002』で決まりです。
ご満足いただけましたでしょうか?今回セレクトしたワインの他にも、本当に多くの素晴らしいワインがセラーで出番を待っています。そして、前評判の高い2007年ヴィンテージもそろそろ登場いたします。是非、ニュージーランドの空の下、ここの食材とともにワインを楽しんでみてください。
だいぶ夜も更けてまいりました。そろそろホテルに戻ることにしましょう。
「ありがとうございました。ごゆっくりお休みになってください。」