NZ Wine Column
ニュージーランドワインコラム
第68回コラム(Jun/2008)
テイスティングにて
Text: 加藤しずか/Shizuka Kato
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2008年6月6日、朝8時半、私の働くワイナリーでテイスティング(試飲会)がありました。ワインメーカー、セラー・ドアー・スタッフ、レストランで働くウェイトレスなど、約15人が集合しました。
1~2か月に一度、毎回違った品種のワイン、異なった年代のもの、国内産からまれに世界各国のワインを試飲することができます。そこで私たちは素直な意見を言い合い、直接舌で感じ、目で見て、匂ってみて表現力をレベルアップさせるのが目的です。私はこのトレーニングが好きです。普段、このように他の人達と同じタイミングでワインを飲み比べ、じっくりと味を確認することはなかなか難しく、朝一番、頭がさえているこの時間帯に、ワインメーカーやワイナリーの先輩たちの意見を聞けるのは、願ってもないチャンスですよね。
今回のお題は、ギブストン・ヴァレー・ワイナリーのリースリング。2000年から2007年のボトルを紙袋で隠し、どのワインがどれか分かるように、グラスの下にアルファベットを書いてからグラスに注ぎ、それぞれの色や香り、味をノートしてから意見を発表します。
ニュージーランドでリースリングを栽培しているのは、80%以上が南島。辛口から甘口まで様々なタイプのワインがあります。地域別に統計を見ると、マールボロ(45%)、カンタベリー/ワイパラ(27%)、ネルソン(6%)、そしてセントラル・オタゴ地方という順番になります。
一方、世界図で見ると、ドイツ、フランスのアルザス、イタリア、オーストリア、ハンガリー、オーストラリア南部地方が有名です。このようにリースリングは涼しい乾燥した気候を好みます。
ニュージーランドでは主にドイツのクローンを使用しているところが多いようです。ワイン醸造の特徴はソーヴィニヨン・ブランと似ています。他のどのブドウの種類より酸化しやすいので、ピッキングした後はより注意が必要です。発酵途中では、理想の残糖量になったら発酵を止めます。まれに、発酵させていないブドウジュースを加えることもあるそうです。
ここ数年、ピノ・グリの栽培面積の拡大が著しいニュージーランドですが、リースリングも確実に伸びています。セラー・ドアーで働いているとき、特に海外からのお客様は「リースリングは甘くて好みではないわ」とよくおっしゃいます。そこで、私たちは即「ここセントラル・オタゴ地方のリースリングはそれほど甘くなく、すっきりしていてお勧めしますよ」と伝えると、、半信半疑でテイスティングしたお客様の顔色がみるみる変わり、「では、一本いただくわ」という確立が高いんですよ。