NZ Wine Column
ニュージーランドワインコラム
オキガル・ワイナリー・ツアー
第206回コラム(Mar/2020)
オキガル・ワイナリー・ツアー
Text: 細田裕二/Yuji Hosoda
細田裕二

著者紹介

細田裕二
Yuji Hosoda

JSA認定“ソムリエ”、SSI認定“国際唎酒師”。2014年から4年間オークランドに居住。シェフとして働くかたわら、北から南まで数々のワイナリーを訪れ、ニュージーランドワインに存分に浸る。帰国後は東京にて複数店舗を展開する飲食企業に勤務。和食とワインのお店を切り盛りするかたわら、社内のワイン講師やワイン関連のプロモーションを任される。 ヨーロッパからの自社輸入ワインのみを扱うお店にて、お客様にニュージーランドワインの魅力をささやく毎日である。

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オークランド周辺の生産地域といえば、ワイヘキ島、マタカナ、そしてクメウを含む西オークランドですね。その他、空港近くのヴィラ・マリアなど各所に点在しているワイナリーがありますが、代表的な生産地域としてはその3ヶ所でしょう。

この中で、車を持っていれば一番気軽に行けるのがクメウ周辺ではないでしょうか。シティ近辺に住んでいれば、モーターウェイで30分ほど走れば着いてしまいます。

オークランド在住時、お部屋をシェアしたり、ジャパニーズ・レストランに勤務していたりした関係で、日本から来る学生さんやワーホリの方々に知り合う機会がたくさんありました。

彼ら彼女らの中には、ニュージーランドがワイン産地として有名だということで、やはりワイナリーに行ってみたいという希望を持っている人や、ある時は単純にサクッとドライブする目的で、よく連れて行ってあげたのがクメウ周辺地域です。比較的狭い地域にワイナリーが点在するクメウの辺りは、格好のドライブコースです。
題して“オキガル・[tippy dict_id=6705]ワイナリー・ツアー[/tippy]”。(決してマジカル・ミステリー・ツアーのパクリではありません。)

大体わたし主催のツアーは午前10時出発になります。そうするとほとんどのワイナリーセラー・ドアーは11時オープンなので、ちょっと早いわけです。何せ30分ほどで着いちゃいますからね。
ではどこに行くかというと、まずクメウ周辺のワイナリーを通り過ぎて向かうのは「ムリワイ・ビーチ」です。ここもオークランド周辺では人気の観光スポットのひとつですね。
そこでビーチに出るのではなく、そのすぐ脇の高台にあるビューポイントです。ここは“ガーネット・コロニー”として有名な場所。毎年9月から翌3月くらいまで、西オーストラリアから飛来してくるたくさんの“カツオドリ(ガーネット)”たちが、ここで産卵しヒナを育てます。

翼長2メートルにも及ぶカツオドリが、巣作りのために周囲を飛び回る姿は圧巻!そしてここに来るカツオドリはこのオセアニア地域にしかいない種類で、頭がうっすら黄色で本当に美しい。最初にこの場所を訪れた時に圧倒されて以来、わたしの大好きな場所になりました。
もちろんカツオドリの産卵シーズン以外も、壮大な自然に出会うことのできる定番スポットで、崖の上にあるその高台からは、60kmにも及ぶムリワイの海岸線が一望でき、ビーチ脇の岩場では運が良ければ、波間を漂う大きなエイや、岩場を散歩するニュージーランド・オットセイなどに出会えるかもしれません。

ムリワイで大自然に触れた後、クメウの辺りに戻りワイナリー巡りを楽しみます。よく行ったワイナリーをご紹介します。

クーパーズ・クリーク(Coopers Creek)
クメウの奥側、フアパイ(Huapai)というエリアに有ります。セラー・ドアーは比較的小さめですが、ホークス・ベイなどにもブドウ畑を所有し、海外への輸出も多く、ビジネス的にも成功している定評のあるワイナリー。著名な国際ブドウ品種のほか、モンテプルチアーノ、マルサンヌなど、さまざまな品種にトライしています。夏には屋外で定期的にジャズのライブなども催しています。
いつ訪れても応対が良く、個人情報を登録すると毎回割引価格でワインが購入できます。
時速100キロで流れている国道16号沿いにあるので、見落とさないように注意しましょう。とくにムリワイから来る場合は反対側になるので、侵入に注意が必要。

ウェストブルック(Westbrook)
国道16号を北に向かって、右手の山側に大きく入っていったところにあるワイナリー。ワイマウク(Waimauku)というエリアにあります。
国道からかなり外れたところにあるのでわかりにくいですが、その分ロケーションは最高。セラー・ドアーで購入したワインを、ピクニック気分でブドウ畑脇のベンチなどで楽しむことも可能。グラスは貸し出してくれます。
ここには友人の旦那様が働いているので、施設の中まで案内してもらったり、ブドウの剪定や収穫などを手伝わせていただきました。

カー・ファーム(Kerr Farm)
このワイナリーも国道16号の左手の平野部に大きく外れた、ちょっとわかりにくい場所にあります。
元宝石職人のジェイソン・カーおじさんが一人でやっているような、小さいワイナリー
自宅の応接間がセラー・ドアーになっていて、彼のほぼすべてのワインを自らの説明付きでゆっくり試飲させてくれます。ニュージーランドで南アフリカの品種であるピノ・タージュを最初に植えたのはこちらのワイナリーだと言っていました。オークランド周辺でソーヴィニヨン・ブランを育てている数少ないワイナリーのひとつでもあります。

 

そしてクメウには“ハラタウ(Hallertau)”というビールのブルワリーもあります。ビール好きにはこちらもお勧め。数年前に施設を改装して、レストランもきれいになりました。

国道16号沿いにあるイチゴ農場がやっているアイスクリーム屋に寄るのもお決まりのコース。すごく人気の店で、週末にはここに入るための渋滞が出来るほど。ほぼ同じ場所に向かい合って2軒ありますが、どちらも美味しいです。
そして帰り際に綺麗なソルジャンズ(Soljans)ワイナリー・レストランで昼食…というパターンもありましたが、ほとんどの場合そのままノースのグレンフィールドにある、私のお気に入りの四川料理屋に連れていくというのが定番のツアーコース。

上記の様な場所を個々のニーズに応じてセットアップというのが、わたし主催のお気軽ツアーでした。
ある時そのツアー中に寄ったクメウ・リヴァー(Kumeu River)に置いてあった、現地のツアーパンフ。ほぼわたしと同じ内容のツアー内容にて、ひとり200NZD前後と書かれていたため、彼らに冗談でツアー料金を払えと笑いをとったりしていました。

余談ですがKumeuとMuriwai、発音難しいですね。日本語ではクメウ、ムリワイと書いて発音しますが、現地の人と話しているとKumeuは“キュミュィウ”みたいな奇妙みたいな、Muriwaiは“みゅぅるぃわい”みたいな感じですかね、ぜんぜん伝わらなかったり聴き取れなかったりしました。

さておまけに、このツアーには深夜コースもありました。もちろん夜なのでワイナリーには行きません。深夜コースの目的は「ムリワイの星空」です。ニュージーランド北島でオーロラを見ることが出来るかもしれない、数少ない場所としても知られるムリワイ・ビーチ。
さすがにオーロラを見ることは叶いませんでしたが、特に冬場の新月の夜などは満点の星空を楽しむことが出来ます。

オークランド中心部出発のオキガル・ワイナリー・ツアー+星空ツアー、ガイドには載っていないお勧めのツアーコースです!

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